姪は叔父さんに恋してる
「上手に出来たね八智絵。ありがとう。」
「お世辞はいいよ…。」
「本当にそう思っているんだけどな。」
叔父さんは微笑みながら林檎をひとつつまみ、口に運ぶ。
シャリッと小気味良い音を立てて、林檎を食べる。
その動作が綺麗過ぎて、一瞬林檎になりたいと思ってしまった。
それからじっくりと咀嚼。
静かに飲み込んだ叔父さんは、
「美味しい。」
嬉しそうに感想を述べてくれた。
表情から察するに、嘘は言ってないみたい。
そもそも、林檎が美味しいのは農家の人が丹精込めたんだから当然だよね。
私はそれを切っただけ。
…ガタガタに。
叔父さんが褒めてるのは私じゃなくて農家の人みたいに思えて、なんだかいたたまれなくなってしまった。