姪は叔父さんに恋してる
寝室に入って枕を置こうとしたけれど、ベッドの上には既に先客がいた。
ウサギのトモミくんと、私にとっては見慣れた、ワンピースを着た猫のぬいぐるみ。
トモミくんを貰った日、入れ替わりに叔父さんにあげたもの。
ずっと飾っててくれたんだ…。
しかも猫の頭には、以前私が買った小さな麦わら帽子が。
叔父さん、この子になんて名付けたんだろう…。
「八智絵、そろそろ出掛けるか?」
ふいに後ろから声をかけられて、私はビクリと肩を強張らせる。
でも時計を見れば、あらら。
時間はそれほど無いみたい。
「ごめん叔父さん!すぐ出よう!」
謝りつつ、廊下に飛び出した。
自分の部屋の前に放置しておいたピカピカの学生鞄を手に取る。
そして、身支度を済ませ玄関で靴を履いてる叔父さんの背中にダイブ…しようと思ったけど、思い留まった。