姪は叔父さんに恋してる
ダイブしない代わりに、手を繋いで家の外へ。
叔父さんに飛び付かなかった理由は、
「ごめん八智絵、少しゆっくり…。」
叔父さんが、まだ普段通りに歩けないから。
死ぬほどリハビリしてこれだ。
何を糧に頑張ってくれたかなんて、自惚れた考えをすれば察しがつく。
「遅刻したっていいよ。
手繋いで、のんびり行こ。」
「入学式初日に遅刻したら印象が悪くならないか?」
悪くなるかもしれない。
でも別にいい、と開き直る。
叔父さんのための遅刻ならむしろ名誉だ。
こんな思考を理解してくれる人は、きっと今日入学するK高にはいないと思う。
そんな人達に悪印象を与えるなら上等だ。
…と、またやっちゃった。
叔父さん絡みになると自分の世界に入る癖、そろそろ直そう。
叔父さんを無視しちゃいけない。