姪は叔父さんに恋してる
「…叔父さん…、お父さんの、言ったこと気にしないで。
お父さんが勝手に言ってるだけなんだから。」
お父さんの考えなんか知らない…けど、叔父さんを悪く言う人は、私にとっては悪い人だ。
頭でそう自動変換されるんだ。
叔父さんはほんの少しだけこっちを向いてくれた。
横顔は、無表情。
私の心の奥底が見えるのを待つような、じっと見据えられた瞳。
私が本心で言ってることくらい叔父さんなら分かる筈。
「…気、悪くしたよね。
ごめんなさい。叔父さんは、何も悪くないのに。」
紙袋を持つ手に力が入る。
叔父さんが不快な気分になるのは嫌だし、機嫌を損ねたせいで我が家に来たがらなくなったりしたらもっと嫌だ。
お父さんに代わって、私はその場で深く頭を下げた。
…これで何も返事を貰えなかったらどうしよう。
そんな一抹の不安を覚えながら。