姪は叔父さんに恋してる
叔父さんに、喜んでほしいから。
「それは楽しみだな。
八智絵がいつ突撃してもいいように掃除しておくよ。」
いたずら計画を立てた子どもみたいな顔をして、私と叔父さんは二人で笑い合う。
叔父さんが来てくれなくなるかも、なんて不安も、お父さんへの恨みも、いつの間にかどこかへ消え去っていた。
純粋に叔父さんと同じ場所に立っていることを喜びつつ、今この瞬間を忘れまいと心に強く刻み込む。
「…じゃあ、俺は帰るね、八智絵。」
「…………うん…。」
次叔父さんに会うまで、寂しくないように…。
徐々に手が離れていく様子が、凄くゆっくりに見えた。
離れた手が、指先から凍結していく感覚に陥った。