姪は叔父さんに恋してる
中学校は徒歩30分の小高い丘の上に位置してる。
何のためにこんな丘陵地帯を通学路に選んだのか自分でも謎だ。
行き帰りで鍛えられた脚力は並みではない…と自負してみる。
このペースで行けば遅刻の心配は少しもないけど、物足りないことには変わりなかった。
こういう時に叔父さんと喋れたらといつも思うのに。
「おーい、八智絵ー!」
「? …あ!」
背後から名前を呼ばれたから振り返れば、そこには同じ制服姿の見覚えある女子生徒。
私がセミロングなのに対して彼女は背中まで伸びたストレートの黒髪。
私よりも背が高いけど、それは歳が違うから当たり前だろう。きっと。
「華実(はなみ)先輩、おはようございます。」
神取 華実(かんどり はなみ)先輩。それが彼女の名前だ。