姪は叔父さんに恋してる
「参ってるよ。毎日ね。
こっちはハッキリ嫌だって言ってるんだけど、どうもあっちには伝わっていないらしくて。」
あ、やっぱり迷惑してるんだ。
お恥ずかしい。
私はその場で頭を下げた。
先輩に迷惑をかけている奴もまた、私にとって他人ではない人間だから。
冒頭で名前だけ挙げた藤村智之…つまり、私のいとこ。
そ。奴だ。
奴が先輩に多大な迷惑をかけている。全く許しがたい。
…と言っても、私が一番許しがたいのは叔父さんに関することだから、さして智之に怒りを覚えているわけでもないんだけど。
「八智絵が謝る必要ないさ。
君のいとこと言っても、私にとっても“いとこ”なんだから。」
「ですね。」
あっけらかんと答える。
ちなみに言うと、華実先輩は私のいとこのいとこ。
私のお母さんのいとこの子でもある。
早い話が“はとこ”だ。
あ。説明短くて済んだ。