姪は叔父さんに恋してる


はとこと言っても、一族揃って集まることなんか滅多にない。

だから先輩とは近い間柄だけど姉妹みたいな親近感はない。
華実先輩がまたいとこだと知ったのも、私が中学に入ってすぐだ。

…っと、このままじゃ先輩の話だけで終わってしまうからこの辺で。

学校への道のり、他愛ない話をしながら歩いたとき、ふいに今朝のことを思い出した。

「ね、華実先輩、ライアートって知ってます?」

「ライアート?」

トモミくん…ぬいぐるみの製作会社の名前だということを説明すると、先輩は顎に指を当てて考えを巡らせた。

しかし返ってきた答えは…

「うーん、知らないなぁ。
何かのブランド?」

やっぱり、先輩も知らないんだ…。

「いえ…。すみません、変なこと訊いて。」


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