姪は叔父さんに恋してる
「ねぇお嬢ちゃん、ちょーっと時間いいかな?」
「!?」
いきなり目の前から声をかけられた。
お世辞にもちゃんとしたポーズをとってない時に話しかける神経を疑う間もなく、私は顔を上げる。
そこにいたのは、スーツをだらしなく着て、髪を金髪に染めたホスト風の装いの男の人。
手に怪しげな広告のチラシを持っているから、キャッチの人だろう。
ずっと一人だから目を付けられたみたい。最悪だ。
「……何か?」
怪訝な目付きで言う。
すると案の定、ホスト風の人はチラシを一枚見せてきた。
やっぱり風俗店の広告だ。
「君のこと、さっきから見てたんだけどさ、やっぱ可愛いし素質あるなぁって思うんだよね。
ここで働いてみる気ない?
結構給料良いよ?」
中学生に勧めるな。
下男のくせに。
“可愛い”と言われれば、普通なら少なからず嬉しいと感じるもの。
でも駄目だ。こんな奴に言われても少しも嬉しくない。
叔父さんの足元にも及ばないじゃないか。