† 小悪魔にご用心†
すらすらと、
俺でも忘れてたことまで。
小悪魔の口から出てきたのは、
そんな小さな俺の行為。
歩く足が止まって、
先に進む小悪魔の姿を見つめた。
「たぶんね、谷澤君は態度が
ちょっとそっけないから冷たく見られちゃうけど、
ほんとはすごく優しい人だと思う」
黒い髪をふわりと揺らし、
振り返った顔はやっぱり笑顔で。
心の奥のもっと深いところが、
じんわり熱くなっていく。
誤魔化しの聞かない鼓動は、
いつにも増して活発で。
何でそんなこと知ってんだ、とか。
何でそんなこと言うんだ、とか。
――――そーゆうのが全部吹っ飛んだ。
えも知れぬ感情は、
多分このときから生まれた。