† 小悪魔にご用心†
小悪魔にご用心
「はぁ!? 天音ちゃんが、
連れてかれたぁ~!?」
でかい声を出す郁也。
「ちょっと! 声が大きいよ!
誰かに知られたらヤバイんだって!!」
石倉に腹をグーで殴られて、
一瞬で大人しくなる。
さっき、俺の名前を呼びながら
石倉は教室に帰ってきた。
昼休みのくせにどこ行ってたとか、
結構どーでもよかったけど。
この話を聞いて、
俺は一気に冷静いっつーモンがなくなった。
「どうにかしてよ! 谷澤くん!!」
「え。俺っ?」
「ったり前でしょ!?
誰の所為で連れてかれたと思ってんの?」
いきなり話を振られたかと思ったら、
いきなり俺の所為になってる。
なんなんだ?
「天音はね!!
アンタのファンに連れてかれたんだから!」
俺の服に掴みかかり、
声を震わせた石倉。
その目には、
少しだけ涙が溜まってる。