先生とアタシの接点
しばらく走って、ようやく海岸に辿りついた。
車から降りると、空は明るさを失って真っ暗になっていた。
ずっと向こうで海と繋がってるように見える。
「わぁ…夜の海って初めてだよ。」
「静かだろ~?あ…香織、あっち。」
優人が指さす先には、空と海の境目に近いところに星がキラキラ輝いていた。
「凄ーい。星が海に映って海もキラキラしてる!」
こんな綺麗な場所が世の中にあるなんて思ってなかった。
人が少ないから、独り占め状態。
いいの?って何回も聞きたいくらい。
手を繋いで、ゆっくり海辺へ向かって歩いた。
「綺麗だな…。昔よく連れてきてもらったんだ。」
「加奈ちゃんと?」
「あぁ。加奈は体が弱くて海に入ったりできなかったんだけど、『見るだけ』って言って聞かなかったんだ…」
「加奈ちゃん海は入れなかったんだ…。辛かったね。」
「でもさ…加奈のお陰で俺や両親は夜の綺麗な海を知ることができたんだ。」
「加奈ちゃんって凄いね。周りの人に色んなものをくれる。自分が一番辛いのに…。」
「そうだな…。自慢の妹だよ。」
「ねぇ優人…今度加奈ちゃんの写真見せて?」
「あぁ。今度な。」