先生とアタシの接点
「平気平気。行くぞ?」
優人は真っ赤になったアタシに微笑むと、そのままアタシの手をとって歩き出した。
もう…ズルイよぉ。
今日眠れないよ…。
「あれだな…。」
優人は先に行ってた三人を見つけると、ゆっくり手を離した。
何ごともなかったように、優人は先生の顔に戻る。
それと同時にアタシとも先生と生徒…になっちゃうんだ。
この瞬間が一番切ないよ…。
『先生』に戻った優人に合わせて、アタシは優人を追い抜かして三人の元へ行った。
アタシの足音に気付いた三人は振り向いた。
「香織いいな~ぁ…先生となんか話したの?」
…やっぱり聞かれるよね…。
聞かれる事は予想していたのに、聞かれたら何て答えるか…なんて考えてなかった。
「ちゅっ…駐車場が分かんなくて探し回ってたからそれどころじゃないよ…。」
とっさに出た答えだった。
「な~んだ…。」
優人ファン二人は声をそろえて肩を落とした。
抱きしめられた…なんて言えないよ…。