先生とアタシの接点

貴重な記念撮影を済ましたあと、それぞれカップルに分かれて周辺を散策した。


無数の石が転がっているだけあって、アサリの食べかすのような貝殻ばかりが落ちていた。

その光景と人気の無い一帯が妙にマッチしているようにも見えた。



「優人…なんだかここ寂しいね。」

思わず本音が出た。

「あぁ…。見た目は綺麗なのにな。」


優人と手を繋ぐなんて貴重なのに優人に顔を見せられない自分がいた。

この海が寂しさは、日常へ戻る時間が少しづつ近づいていることを感じさせた。



分かってる…。

海に向かって叫びたくなった。


明日の夜……

アタシは泣いているかもしれない。ミルクを抱きながら…。



アタシなんでこんな事考えてんだろ…。

楽しいはずなのに…。



「どうした?泣きそうな顔して。」

優人は心配そうな顔でアタシを見つめている。

「この海、人がいないくて寂しくないのかと思って…。」

「香織は優しいんだなぁ。」

「ん…友達いないみたいなんだもん。寂しいでしょ?」

「友達か…。そうだな。俺も友達いなかったら香織と続いていたかもここに来れていたかも分からねぇな…。」

「うん。大事にしないとね。」
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