先生とアタシの接点
優人が片手でチャリを曳いてるからゆっくりめに歩いた。

だけど、バイト先のお店と距離が無いからすぐ着いた。

チャリを置いて一番近い大通りに出ると、ものの数分でタクシーがきた。

優人が一歩前に出て停めてくれたけど、そういう姿がまたカッコイイ。

優人はやっぱりモテるのかな…?

会社ではきっと女のコと話したりするんだろうな…。


付き合えるってだけで満足なハズなのに、アタシは欲張りになってた。


仕事だからスーツ…だよね。

スーツ着たらどれくらい『カッコイイ』って連発しちゃうかな…?

そのうち見れるといいな。…妄想は止まらない。



気が付くと、タクシーの後部座席で優人と手を繋いでた。

繋いだ手を見るだけでドキドキする。

「…りる…は…?」

「香織、聞いてる?降りる場所は?」

運転手さんに代わって優人がアタシに降りる場所を尋ねてる。

「あっ…ごめん。山園小学校でお願いします。」

「かしこまりました。」

怒ってるであろう優人の顔が見れなくて、さりげなく運転手さんに直接言った。

< 45 / 267 >

この作品をシェア

pagetop