先生とアタシの接点
「香織もこの道通ってんの?暗いな…。」
優人が窓の外を覗き込むように見ながら呟いた。
…そんなに怒ってないみたいでちょっと安心。
タクシーはちょうどアタシがいつも通る道を走ってる。
「うん。こっち初めて?」
「あぁ。」
初めて見る景色のせいか、優人はちっともこっちを向いてくれなくて少し寂しかった。
そう思ってたら、だんだん意識が遠のいていった。
アタシは眠ってしまったらしく、優人に起こされた。
「ん~。…あれ?」
アタシ寝ちゃったんだ…。頭がボーっとする。
「ふぅ…やっと起きた…。ここからは?」
「あっ…ごめん。家はすぐそこだからこのまま帰っていいよ。」
「そっか。じゃぁ明日な。気をつけて帰れよ?」
「うん、ありがとう。」
アタシはタクシーから降りて、しばらく手を振っていた。
優人が見えなくなると、家に向かって歩きだした。
まだ冷たい夜風がポカポカしていたアタシの体を冷ます。
家に帰ると、おばあちゃんが「おかえりなさい」と言って遅い夕食を出してくれた。
ご飯を食べてお風呂に入って、すぐに布団に入った。