先生とアタシの接点
名簿さえできていれば…と一瞬思ったけど、後悔した。
…やっぱり言えばよかった…。
言えばこんな再会をする前に何とかなったんだ…。
どんな顔をして香織に会えばいいんだ…。
…会ってくれるのか?
職員室に戻ってから、初日だというのに何も仕事が手につかなかった。
「遠山先生…早速なんですが三年生は春休みの課題として進路を書いた紙を提出する事になっています。
忘れてくる生徒については明日の提出となりますが、校長には今日報告をしなければいけないので、忘れた生徒が進路相談室に寄ります。
すみませんが進路相談室の方で待機いただけますか?」
若干小声で教頭が話しかけてきた…。
校長がうるさいのか…。
「わかりました。それでは、失礼します。」
早速、鍵を持って進路相談室へ向かった。
生徒の顔見たら少しは落ち着くかもな…。
香織に対する罪悪感を感じながらも、忘れる事に少し期待しているような自分もいた。