結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
新たなる場へ
そんな穏やかな日は、長くは続かない。
今は戦乱の世。
俺が姫の元へ行くようになってから三月(みつき)経っていたが、その間も争いのない日はなかった。
しかしどれも小競り合い程度で、戦と言えるほどのものではなかった。
俺の初陣は、勝ちの決まったような戦だった。
そのあとも何度か出陣したが、俺が戦局に関わるような戦はもちろんなく、特に大きな怪我もせずに帰途についていた。
ただ、戦場(いくさば)に出た翌日は、姫が戦について聞きたがるため、俺は自分の武勇伝を多少誇張して話していた。
その度に姫は、ぎゅっと両の手を握り締め、じっと俺を見つめながら不安そうに話の先を促すのだった。