結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
わかってはいた。
理解もしていた。
だが、心は納得していなかった。
相手は、青羽国一のバカ殿と噂されている青羽 誌佑(シスケ)。
そんなやつに姫が嫁ぐのかと思うと、ぐるぐるとどす黒い感情が体中を暴れ回る。
せめて、自分が認められる力量の持ち主ならば……
否、誰にも姫を渡したくない。
だが自分は所詮、一介の家来。
俺が口出しが出来るわけでも権限があるわけでもない。
ただ微笑んで、姫の不安を取り除いてやることしか出来ないのだ。
俺は普段以上に笑顔を見せながら言った。
「おめでとうございます……」