結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
がん、と頭を殴られたような衝撃が走った。
『お慕いしている』…?
俺を……?
情けないことに、嬉しさより先に思ったのは、
『俺はそんな素振りをしていたのだろうか?
姫を好きだということを隠せていなかったのだろうか?』
ということだった。
尊敬する靖倖様の期待を裏切ってしまった……?
信頼出来る家来と見込んで姫に引き合わせたんだろうに。
申し訳ない気持ちと、
畏れる気持ち、
それが落ち着いてやっと、『嬉しさ』が込み上げてきた。
肩を震わせすがりつく姫を『愛しい』と思った。