結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
そう結論付けた俺だが、ふと頭を掠めた考えがあった。
そうだ、もうひとつある。
ヨロイに拮抗しうるチカラが。
『サムライ』だ……
俺が、国を守るために、姫を守るために、サムライになればいい。
俺は立ち上がり、父の元へ向かった。
父は書斎にいた。
襖越しの誰何の声に名乗ると、「入れ」と短い返事があった。
書類に目を通していた父はふと顔を上げ、厳格な顔つきで俺を見た。
挨拶もそこそこに、俺は早速話を切り出した。
「父上。私は『サムライ』になろうと思います」
回りくどくすることなく直球で放った言葉に、父は「ふむ」と思案していた。