結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
第二幕〓言霊
欲した珠と力
翌日、俺はサムライになるために、青羽の国にいる陰陽師の元へ行くことを決めた。
ここからなら半日で着く、紅の国にほど近い場所に住んでいることが救いだった。
少しでも早く、姫から離れたところへ行きたい。
そう思いながらももう一方では、姫から離れたくない、と心が叫んでいた。
矛盾を抱えたまま、俺は紅の国を後にした。
青羽の国に入り、陰陽師の邑楽(オウラ)と名乗る男のところへ行った。
邑楽は見た目が20歳くらいの、ひょろりとした体躯の男性だった。
かき集めて持参した金を一瞥し、邑楽は俺に言った。
「このハシタ金はなんだ?」
俺がサムライになりたいと言うと、邑楽はにやりと笑った。