結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】

「ほう。なぜサムライに?」

まるでお前には無理だと言われたようで、俺は一気に頭に血がのぼった。

姫への想いは伏せてかいつまんで事情を話すと、少しずつ邑楽の顔から笑みが消え、いつしか真剣な面持ちで俺の話をきいていた。

俺が話し終わると、邑楽はゆっくりと言った。

「わかった。
本来ならばこんな額では受けないのだが、翠の国がヨロイを持ったと言うなら、青羽の国の危機でもある。
サムライにしてやろう」

そう言うと、懐から何枚か紙を取り出し、さらさらと何か書き込んだ。

その紙を、この部屋の戸という全ての戸に貼り付けた。

「結界を張った。
術式に取りかかる」

< 27 / 60 >

この作品をシェア

pagetop