結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
そして術式を組み立てたらしい邑楽は、珠を俺の体に埋め込んでいった。
ひとつ、ひとつ、埋め込まれるたびに、肉を抉られ骨を削られていくような感覚に陥る。
体の表面はじんじんと痛みで熱を帯びているのに、芯はキリキリと冷えきっているような錯覚。
脳がギチギチと握り潰されているような感覚に、俺は悲鳴をあげた。
声を出したところで楽にはならず、より一層痛む体。
そのときだけは若菜姫のことが頭から離れた。
激痛に苦しむほど、姫への恋慕の気持ちが薄らいでいることに気付き、俺は少しだけ痛みに感謝した。