結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
「あれから、一月(ひとつき)……だと……?」
「ああ、一月経った。
ついでに、翠の国が紅の国に攻め込み、紅の国は滅んだ。
お主の言ってた姫は、翠の国に捕らわれた」
事も無げに言う邑楽に、俺はつかみかかった。
「なぜ……なぜ…!
俺を起こしてくれなかったんだ!!
俺は、紅を、姫を守るためにサムライになったのに…っ」
邑楽は俺の腕を振り払い、ギロッと睨み付けた。
「ふざけるな!
生死の境をさまよっていたお主に何が出来る!
私にあたる前に、痛みに逃げこんだ脆弱な自分に怒れ!!」