結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
がくん、と膝を折ってうなだれた俺の頭の中を、邑楽の言葉が駆け巡る。
「うそ……だろう。
紅の国が滅んだ、なんて……」
「嘘か真か、その目で確かめればいい」
突き放すように言うと、邑楽はくるりと背を向けた。
「それだけ回復したなら、もう養う義理はない。
さっさと出ていくがいい」
そう言い捨てると、邑楽の足音が遠ざかっていった。
俺はノロノロと立ち上がり、身の回りの品を揃えて邑楽の屋敷を後にした。
外はすっかり季節も変わり、少し肌寒かった空気もうららかな日射しに交代していた。
晴れ晴れとした天気とは裏腹に、俺の心は真っ暗な闇をさまよっていた。
邑楽に嘘をつく利点はない。
だからといって、易々と信じられない。
自然と国へ向かう歩調は早くなり、いつしか走り出していた。