結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】

「──ッ」

そこかしこ痛む体を引きずるようにして走っていたものの、さすがに体は正直だ。

気持ちばかりが急いて足は言うことをきかず、あっという間にもつれ、道端に倒れ込んだ。

体に負担のかかるサムライ化をしたばかりなのもあるのだろう。

「……姫……」

触れた地面をぎゅっと握り、ずるずると四つん這いのまま、紅の国を目指す。

しかしこの調子では、いつ紅の国に着くかわかったものではない。

俺は言霊を唱え、サムライ化した。

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