結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
刹那、体中に埋め込まれた珠から力が溢れ、どくどくと血流が体の隅々まで駆け巡る。
みなぎる力を糧に、俺はすぐさま立ち上がった。
走り出した体はとどまることを知らないかのように、ぐんぐんと地面を突き進む。
ヒトであったときには半日かかった行程だったが、このままいけば半分以下の刻で到着しそうだ。
そうして走っていると、紅の国に入った。
俺の知っている紅の国ならば、入るとしばらくは荒れ地が続く。
だが今は、焼けた野原が広がっていた。
目のはしに流れていく風景は、邑楽の言葉が正しかったことを指し示していた。