結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
城下町は閑散とし、外を歩くのは覇気のない人々ばかりだった。
戦に負けた国を今までに幾度も見たことのある俺だが、何度見ても慣れない。
弔う手が足りないらしく、そこらに転がっている死体。
親をなくしたのだろうか、叫ぶように親を呼び泣きじゃくる子どもも多い。
サムライ化をした俺を見て、物陰へ隠れて行った。
復興の気力もないのであろう、どんよりと虚ろな瞳をした町人から目をそらし、俺は城を目指した。
紅城は、見る影もなく無残に焼け焦げていて、俺は言葉を失った。
紅鷺城の異名を持つほど美しかった本丸は黒く崩れかけており、紅の国の攻落を物語っていた。