結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
金属のぶつかる音が辺りにこだまする中、ヨロイから途切れ途切れに言葉が洩れてきた。
「強い……どうすればいいの……痛い……痛いよ……」
乗り手とヨロイの結合が強過ぎるのか。
痛みによる迷いが、幼子に戦いの判断を出来なくさせていっているようだった。
「六合(クニ)……痛いよぉ…助けて…っ」
六合?と思ったとき、ヨロイの後ろに人の影がさした。
服装から、恐らくは陰陽師。
「六合ぃ……お父様ぁ……っ」
錯乱状態なのか、ヨロイからはそれ以外には不明瞭な言葉が繰り返されているとしかわからない。
「やれやれ、また同調の修正をしなければなりませんね。
しかし、紅の国にサムライがいたとは。
まあ来ただけの収穫はあったので、今日は去りましょう」