結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
陰陽師はそう言うと、ぱさりと扇子を開き、パチンッと音を鳴らして閉じた。
すると一瞬にして消え失せ、同時に今まで戦っていたヨロイの姿も消えた。
「逃がしたか……」
歯がゆい思いでその場に立ち尽くしていたが、俺はサムライ化を保てなくなり、それを解いた。
ぐらり、とよろめき地面に倒れ込むと、ヨロイの足の跡が大きく地面をえぐっているのがわかり、たまらずゾッとした。
だが、自分のサムライの力も、思い知った。
疲労を癒せば、きっとあのヨロイに勝てる。
「姫……すぐに、参りま…す……」
俺は、いつの間にか目を閉じていた。