結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
「どういう……意味だ…?」
突然の申し出に、俺は訝しげな視線を向けたようで、邑楽は飄々と答えた。
「どういう意味もなにも。
お主は姫を取り返したいのだろう?
手伝ってやる」
「……報酬なんぞ、出せんぞ」
クッと笑う邑楽が気に障る。
「人を金の亡者のように言うな。
さて、とりあえずはお主の疲労をどうにかせねばな」
「どうにか出来るのか!?」
早口だとうまく呂律が回らないが、何とか通じたようだ。
「フン、私を何だと思っている?
陰陽道を極めた私に不可能はない」
せせら笑いながら、邑楽は俺に向かって紙を投げた。
ぱさりと紙が背にかかると、紙に近い珠からだんだんと力がみなぎり、いつしか全身へと到達した。