結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
足並みを揃えたのか、ジャクッ、ジャクッ、という音がした。
キュイィィ、と、ようやっとヨロイのレンズ眼がこちらに照準を合わせた。
俺は静かに言霊を唱え、おもむろに刀を持ち直す。
地面を蹴り、ヨロイに向かって切りかかった。
ガキィィィッという音と共にヨロイの胴に食い込んだかに見えた刀は、瞬間に持ち上がった一本の足に見事に弾き返された。
幼子と言えど、戦慣れしているようで、やはりそう易々と間合いに踏み込ませてはくれない。
だが今回、こちらの気力は満ち満ちている。
大きなヨロイではどうしても大振りになる。
勝機が、見えた。