結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
現れた敵
「何も」
そう言って、俺は神経を研ぎ澄ます。
目が慣れたのか、斬りつけてくる輩の動きがなんとなく見えてきた。
ヒトと同じ形に、金色の体。
「金剛機……」
ぼそりと呟いた俺に、初めて六合の笑みが消えた。
「ほう?
この私の最高傑作の動きが見えるとは、大したものですね。
しかし、動きについていけますまい。
あなたはここで、姫に会えぬまま死ぬのです」
ヒトの脳を持ち、珠を核として全身が固い金属で出来ている金剛機。
陰陽師の持ちうる力全てを注ぎ込んだ金剛機に、敵うものはいない。
だが。
「ここらが正念場だな……」
俺は懐から一枚の紙を取り出した。