結ばれぬ恋、許されぬ想い~戦国恋想~【短編】
最も、内容は、誰それがこう言っただの、庭のなんちゃらという花が咲いただの、女の子らしい他愛もない話ばかりだった。
だが、稽古に明け暮れて周りの変化に疎い俺には、とても興味深い話だった。
いや、俺は、若菜姫から紡ぎ出される言葉なら、なんでも良かった。
その実、せっかく話して下さった内容など、殆ど覚えていない。
覚えているのは、話をするときのちょっとした仕草や、俺の相づちへの表情、ころころと良く笑う可愛らしい声。
俺はいつの間にか若菜姫に、恋をした──