白兎物語
目の前には大きな川が流れていた。流れがとても早く、泳ぐ事はもちろん、たとえ小さな船などがあったとしても渡れそうになかった。

ウサ美「どうすんだよこれ。え?ウサ吉さんよ!これじゃ渡れないじゃない!リサーチ不足なんじゃないですか?川があるくらい前もって調べられないかなぁ?あいかわらずなダメ兎だな!だいたいお前ら…」

いつものように荒れ狂うウサ美といつものように怒られているウサ吉。するとあたりを調べていた赤ウサが何かを見つけて、

赤ウサ「おい。あっちに吊り橋があるぞ!」

ウサ美「なんですと!」

ウサ吉「行ってみましょう!」

急いで吊り橋に走り寄るウサ美たち。しかしかなり傷みが激しく今にも崩れ落ちそうな橋を前に立ち尽くす3匹。

ウサ美「…これしかないのか?」

赤ウサ「…らしいな。」

ウサ吉「どうしますか姫?」

ウサ美「…行くしかないだろう。また森に戻るのは嫌だからな。」

意を決して3匹は橋を渡る事にした。いざ渡ってみると意外に丈夫で難無く橋の中ほどまで来ることができた。

赤ウサ「けっこう丈夫な橋じゃねーか。」

ウサ吉「油断は禁物だぞ赤ウサ!さあ姫、早く向こう岸まで急ぎましょう。」

ウサ美「びびってんのかよウサ吉。大丈夫、絶対落ちないって。ほら、ほら!」

調子に乗ってその場でジャンプするウサ美。

赤ウサ「待て待て!さすがにそれはマズイんじゃねーか?」

ウサ吉「姫!やめて下さい姫!」

ウサ美「ほ〜らほ〜ら!」

しかし聞く耳を持たないウサ美はジャンプを繰り返す。すると

『ブチッ!』
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