白兎物語
セシル「待ちな!それ以上近づくとそいつみたいにすぐに魂を抜いちゃうわよ。」

左手で倒れている赤ウサJr.の方を指差しながら邪悪な目でウサ美を睨み付けるセシル。

ウサ美「くっ…」

これ以上近づくと恐らくセシルの言葉通りになるだろう。それを肌で感じ、ウサ美は動けないでいた。

セシル「そうそう、お前は大人しくそこでコイツが死ぬところを見ていればいいんだよ。なあに心配はいらないよ。お前もすぐに同じ所に送ってやるからさ。アハハ!」

そう言ってセシルは首を掴んでいる右手にさらに力を込める。

ウサ吉「ぐはっ!ひ…姫…」

苦しそうに顔を歪めながらウサ美に何かを伝えようと必死なウサ吉。

ウサ美「ウサ吉!!何だ?何が言いたいんだ?」

ウサ美の問い掛けにさらに口を開くウサ吉。

ウサ吉「…あなたを…最後まで…お守り…でき…なくて…申し訳…ありません…でし…た。あなたの事…は忘れ…ません。…もし…、もし…生まれ変われるの…なら…次は家来では…なく…あなたの…あな…たの……」

ウサ吉の目から生気がだんだん薄れていく。

ウサ美「…なんだよ?…死ぬなよウサ吉…。ちゃんと言ってくれないとわからないよ…。次は…次は何なんだよ…」

目に涙を溜めウサ吉を見つめるウサ美。
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