白兎物語
セシル「フフフ…そんな心配はいらないよ。アタシに殺された者の魂は決して生まれ変わる事の無い魔界に落ちちゃうから。残念だったわね。さあ…死になさい!」

セシルはそう言うと右の手にありったけの力を込めた。

ウサ吉「ぐあぁぁ!!」

最後の力を振り絞り足をバタつかせ抵抗するウサ吉。しかし次第に力が抜けてきている。

ウサ美「ウサ吉!!」

もはやウサ美の声も届いているのか疑わしかった。

ウサ吉はウサ美の方を驚くほど穏やかな表情で見つめると何かをつぶやいた。そしてだらりと全身の力が抜けそれっきり動かなくなった。

セシル「フン、しぶとい奴め。やっと死んだか。さあ次はお前の番だよ。」

そう言うとセシルはウサ吉をまるでボロ雑巾を扱うように床に投げ捨てた。

床に転がるウサ吉を信じられない表情で見つめるウサ美。

ウサ吉の最後の言葉…。

声にはならなかったがウサ美には分かった、

「サヨウナラ」

別れの言葉。一番聞きたくなかった言葉だ。

セシル「お前は一瞬で終わらせてやるよ。」

そう言うとセシルは赤ウサJr.の魂を抜いた時と同じように指を拳銃の形にしてウサ美に狙いをつける。

ウサ美はまだウサ吉の方を見つめたまま何かぶつぶつとつぶやいていた。
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