白兎物語
すると突然悪魔はピョンとウサ美の前に飛び降りた。

悪魔「クケケッ、じゃあ奴は貰っていくぜ。シャーロットに会う事があったらヨロシク言っといてくれ。」

ウサ美「わかった。用が済んだらさっさと行けよ。」

悪魔「おー怖っ。つれない所なんかシャーロットにそっくりだな。さずか1000年ぶりに後継者として選ばれる訳だ。」

ウサ美「後継者?」

悪魔「なんだよ、そこまではシャーロットに聞いてないのか?まあ、いいや。時間が無いんでそろそろ行くぜ。悪魔もこう見えてけっこう忙しいんでな。」

そう言うと悪魔は一飛びで審判の扉まで戻り、

パチンッ!

と指を鳴らした。するとセシルを掴んでいた巨大な腕がするすると扉の中に戻っていく。そしてバタンと勢いよく扉が閉まった。扉に先程天使と悪魔の彫刻が彫られていたが今は何故か天使しか見えなくなっていた。

悪魔「じゃあまたな、毎度ありぃ。クケケッ!」

そう言うと悪魔は扉によじ登り、天使の彫刻の横まで行くとみるみる扉と同化して悪魔の彫刻に戻っていった。
そしてすぐに扉も霧が晴れていくみたいに次第に見えなくなった。

ウサ美「ふう…疲れた…」

そうつぶやいた時に後ろでガタッと音がした。

振り向くと壇上に倒れていたウサ太郎が起き上がろうとしていた。

ウサ美「お前…生きていたのか!?」

ウサ太郎「イテテテ…何だ?一体どうなったんだ?体中が痛いぞ。」

ウサ美はウサ太郎が気絶してから先の事をすべて話して聞かせた。

ウサ太郎「本当か?とても信じられんが…そんな事があったとは…」

ウサ美「とりあえずウサ吉とJr.を運び出そう。古代の力を使えばまだなんとかなるかも知れない。」

そう言ってウサ美は倒れたウサ吉の方へ歩いていった。

ウサ太郎「そうだな。…ん?あれは何だ…?」

ウサ太郎は何かを見つけそれを拾いあげ手に取った。

ウサ太郎「こ…これは!?」

思わぬ物を見つけウサ太郎はただただ驚くばかりであった。
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