白兎物語
ウサ美「待て!お前はそんな事をするような悪人じゃない。みんなと一緒に戦ってきた仲間だろ?」

ウサ太郎「オレが…仲間…?」

口元に持っていこうとした手が一瞬止まる。

ウサ美「そうだ仲間だ。思い出せ、みんなとの思い出を。」

そのウサ美の言葉でウサ太郎は思い返していた、みんなとの大事な思い出を…。

(…ウサ美に罵倒され…ラビィに罵倒され…みんなに罵倒され………あれ?何かオレずっと罵倒されっぱなしじゃん!)

ウサ太郎「ちくしょー!!」

ウサ太郎はガラスの小瓶を一気に口元へ持っていった。

ウサ美「ウサ太郎!!」

思わず目を閉じるウサ美。

次に目を開けた時、ガラスの中の液体はカラになっていた。

ウサ美「ウサ太郎…」

ウサ太郎は少し上を向き、目を閉じている。口元には笑みが浮かんでいた。

ウサ太郎「…でも、…でも楽しかったんだ。お前らといると…」

そうつぶやくウサ太郎の足元を見ると、小瓶の中の青い液体が全部捨ててあった。

ウサ美「ウサ太郎、お前…」

ウサ美の表情に笑みが戻る。

ウサ美「お前どMだな!罵倒された事思い出してニヤニヤしてるし。」

ウサ太郎「どMじゃねーよ!何でそうなるんだよ!オレはお前らと…」

ウサ美「まあまあ、いいって。それよりかとりあえずここを出ようぜ、どM太郎。」

ウサ太郎「どM太郎って呼ぶなー!」

…その後、ウサ美とウサ太郎は洞窟から脱出し、何とか倒れた仲間を洞窟の外に運び出した。
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