白兎物語
ウサ太郎「ハァハァ、これで最後だぜ。」

息を切らせながらウサ太郎が赤ウサJr.をかついで洞窟から出てきた。

ウサ美「ん、ご苦労。」

入口で魔力を使い果たし力尽きたオコジョ族のバジャール、バルタスとの戦闘で倒れたラビィ、そしてセシルにやられたウサ吉とJr.。4匹を並べて寝かせ、その前に立つウサ美は困っていた。

ウサ美「太古の力は手に入れたんだが、生き返らせる方法を知らないんだ…」

ウサ太郎「仕方ないさ、そんな事できる奴は神だけだ。これも運命だったのさ…手厚く弔ってやろうぜ。」

ウサ美「ああ…」

ウサ美とウサ太郎は倒れていった仲間達に手を合わせ冥福を祈った。

「ちょっと待って。」

背後からの声にウサ美とウサ太郎が振り向く。

ウサ美「お前は…」

そこには白兎四天王の1匹、まだ小学生だが頭脳明晰のウサ川ゴランが立っていた。

ゴラン「やっと着いた。あちゃー、みんなやられちゃったんですね…」

倒れた4匹を見て悲しげな表情を浮かべるゴラン。

ウサ美「ああ。加勢にきたのか?もうすべて終わってしまったぞ。」

ゴラン「いえ、こんな事もあるだろうと思いまして連れてきたんですよ。探すのが大変でした。これでみんなを生き返らせる事ができるかもしれません。」

ウサ美「えっ?連れてきたって…」

ウサ太郎「他に誰もいないじゃないか。」

2匹はあたりをキョロキョロと見回したがゴランの他には誰もいなかった。

ゴラン「どこ見てるんですか。あそこですよ…あそこ。」

ゴランは人差し指を立て、空を指差した。その指先をたどり空を見上げる2匹。

ウサ美・ウサ太郎「!!!」

思わぬものを見た2匹は声も無く、ただ驚きの表情で空を見上げていた。
< 111 / 121 >

この作品をシェア

pagetop