白兎物語
するとそれを聞いていたウサ美がニヤニヤしながらバジャールの方へ歩み寄り、

ウサ美「まあ、利害が一致してるみたいだから協力してあげるよ。狼を退治すればガブリエルリリーも手に入るし。…で、さっきの1万円だけど…。エヘヘ…。」

バジャール「ああ、返すよ。あれはアンタたちを試しただけだから。」

バジャールから1万円を受け取りそれをポケットに納めるとウサ美はリーマンブラザーズの方へ向き直り、

ウサ美「ほら、お前らも1万円出して。」

と笑顔で話しかけた。

リーマンたち「え?」

キョトンとした顔でウサ美を見つめるリーマンたち。

ウサ美「お前ら金で悪いやつの言う事を聞くなんて許されると思ってるのか?そのお金は私がちゃんと警察に届け出ます。」

リーマン兄「仕方ないな…。」

ウサ美がリーマン兄から1万円を受け取ってる所を見ながら、ウサ吉と赤ウサJr.は小さな声で話し合っていた。

赤ウサJr.「おい、あれ絶対警察とかに届けないと思うけど…。」

ウサ吉「言うなJr.。何も見なかった事にしよう…。」

赤ウサJr.「…そうだな。」

その光景を見ていたバジャールは心の中で思っていた。

バジャール(頼む相手を間違えたかな…)

そんなそれぞれの思いをよそにバジャールから1万円を取り戻し、さらにリーマンブラザーズから1万円を巻き上げたウサ美はホクホク顔で自分の席に戻り、空港の売店で買っておいた焼きプリンを美味しそうに頬張りながら、やっぱりシュークリームも買っとくんだったと窓の外の景色を眺めながら心の中で思っていた。
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