白兎物語
赤ウサJr.「チッ!先にツッこまれたか…。」

そんな2匹のやり取りも聞こえない様子のウサ吉は、

ウサ吉「まさか姫はあの老婆に新しいDSを買ってあげたくて…、それでウサギの涙を売ったのか?自分のためではなく…。そんな事も知らずにオレは…」

そう言って部屋を飛び出して行った。

バジャール「何だかよくわからんが、お前は行かなくてよかったのか?」

赤ウサJr.「オレが行ったら野暮ってなもんだ。あいつだけで十分さ。」

そう言って赤ウサJr.は残っていたホットチョコレートを一気に飲み干した。

一方ウサ吉は宿の近くにあるバーでテーブルに平伏して酔い潰れているウサ美を発見していた。

ウサ美「バーカ…」

酔って寝ながらもまだ文句を言っているウサ美。

ウサ吉「お金も持たずにこんな所で飲んだりして…。起きたらちゃんと謝らなくちゃな…。」

ウサ吉は店の支払いを済ませ、ウサ美を背負って宿屋まで歩いて帰る事にした。

ウサ吉「ちゃんと話してくれればよかったのに…。本当に世話のかかるお姫様だ。」

言葉とは裏腹にどこかしら嬉しそうなウサ吉。

いつの間にか降り出した雪が夜の空からゆっくりと辺りに降り注いでいたが、2匹の周りだけは不思議と暖かく見えたという。
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