白兎物語
セシルの声に全員の目が洞窟に向けられた。洞窟からは武装した狼族の兵士達が次々に出てきて一番最後にガゼットが出て来た…が、何か様子がおかしい。

赤ウサJr.「おい、あいつら何か変じゃねーか?」

ウサ吉「ああ、少し足元がフラついているような…?」

見ると狼たちは皆フラフラと歩き、目の焦点も合っていない。

何が起こったのかわからない一同。すると、

「借りは返させてもらったぞ。」

背後から聞き覚えのある声がした。

一同が振り向くとウサ太郎がボロボロの格好で立っていた。あちこち血が滲んでいて怪我をしているようだ。

ウサ美「どうしたんだよ、その格好は?」

ウサ太郎「白兎に助けられたとあっては黒兎の恥だからな。借りを返したまでだ。バジャールの荷物の中にあった薬を奴らの飲料用の貯水槽に入れてきた。ただ逃げる時に見つかってしまってな、このザマよ。あとはお前たちだけで大丈夫だろう…」

ドサッ!

そこまで話すとウサ太郎は大きな音を立て倒れてしまった。

一同「ウサ太郎!」

心配し駆け寄る一同。

するとセシルがウサ太郎を抱えあげ回復の呪文を唱えた。

セシル「大丈夫、気を失っているだけです。この方は私が見てますから皆さんはガゼットを倒して下さい。いつまで薬の効果が続くかわかりませんよ。機を逃してはこの方の勇気が無駄になってしまいます。」

ウサ美「それもそうだな。よーし行くぞみんな!」

数こそ違えど、もはや薬の作用でフラついている狼と百戦練磨のウサ美たちでは勝負にならなかった。

瞬く間に狼族の兵士を打ち倒すと最後はバジャールがガゼットに決定的な一撃をくらわせ勝負がついた。
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