白兎物語
見るとバジャールが少しフラついていた。

バジャール「ちょっと慣れない魔法を使って疲れたみたいだ。少し休めば大丈夫。みんなオレに構わず先に進んでくれ。あとから必ず行くからな。」

ウサ美「よしわかった。セシルなんかすぐやっつけるからそこでゆっくり休んでていいぞ。さあ行くぞみんな!」

ウサ美達は二言三言バジャールに声をかけると洞窟の中に進んでいった。しばらく進んだ時にウサ美が口を開いた。

ウサ美「あいつ…嘘付くの下手くそだな…」

ウサ吉「!!…姫も気付いていたんですか?」

ウサ美「ああ…さっきのあれ…あんな簡単に破れる魔法じゃないもんな…」

ラビィ「恐らく自分の命と引き換えに壁を消したのね…」

赤ウサJr.「オレ達に心配かけたくないから平気なフリなんかしやがって…」

4匹の目には涙が光っていた。

洞窟の入口では力尽きたバジャールが倒れていた。

バジャール「ハハ…楽しい奴らだったな…今度生まれ変わったら…白兎になるのも…いいかもな…みんな…世界…を…救って…くれ…よ…」

そこまでつぶやくとオコジョ族最後の生き残りバジャールは静かに目を閉じた。

一方ウサ美達は狭い洞窟を進んでいたが突然開けた空間に出た。

そこは行き止まりになっていたが奥の壁に大きな鉄の扉があった。

ウサ美「セシルはあの先か?」

ウサ美がそうつぶやいた時、どこからともなく大きな声が洞窟全体に響いた。

「そうだその先だ!自由に通ってくれて構わんぞ!ただし、扉に着くまでにオレ様に殺されなければの話だがな!」

4匹『!!!』

まだバジャールの悲しみも癒えぬ矢先にウサ美達に新たな試練が待ち受けていた。
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