白兎物語
ウサ美「なんだよ、まだ奥があるのかよ…。」

赤ウサJr.「仕方ねぇな…行くか。」

一行はまた進み出した。

ウサ吉「ん…どうしたラビィ?」

見るとラビィが扉の所で立ち止まったままでいた。

ラビィ「ゴメン、ちょっとお化粧崩れちゃったから先行ってて。直したらすぐ行くから。」

赤ウサJr.「なんだよ、化粧直しか?」

ウサ美「じゃあ先行ってるからすぐ来いよ。」

ウサ美たちはラビィを残して進んでいった。

ラビィはウサ美たちを見送るとコンパクトを取り出し化粧を直し始めた…が、手が震えてしまい、すぐにコンパクトを落としてしまった。

ラビィ「…さすが狼族最強と言うだけあるわね、よけきれなかったわ…」

そう言うとラビィは力無くその場に崩れ落ちた。

うつぶせに倒れたラビィの背中にはバルタスのナイフが突き刺さっていた。実際にはかわしきれなかったのだ。

ラビィ「…一度は…白兎を…裏切っ…た…罰が…当たっちゃった…の…か…な……」

そして静かに閉じられた目には涙が光っていた。

その頃、先を進む3匹の目にも涙が浮かんでいた。

ウサ美たちは知っていた。ラビィが自分たちに心配をかけまいと化粧だと嘘をついて自分たちを送り出していた事を。

散っていった仲間のためにもセシルを倒す事をさらに固く心に誓うウサ美たちであった。
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