白兎物語
ウサ美「これで本物がどちらかわかったな。」

ウサ吉「ええ、早くセシルの元に向かいましょう。」

そう言って2匹が扉の方を見るが扉は開いていなかった。

赤ウサJr.B「フフフ…かかりましたね。あなた方が倒したのは本物の赤ウサJr.…。わたしの術を見破るのは不可能です。次はどちらに変身しましょうかね?フフフ…」

そう言って元の狼の姿に戻りウサ美とウサ吉の方へ近づいてくるブルー。しかしウサ美とウサ吉は意外に冷静な表情をしていた。

ウサ美「だますのが得意なようだが、だまされるのはもっと得意なようだな。」

ウサ吉「あなたの負けです、ブルー。」

ブルー「何?」

何の事かわからない様子のブルー。するとブルーのすぐ背後から声がした。

「よけてみな!」

ブルーが振り向いた瞬間、赤ウサJr.の放った衝撃波がブルーの腹部に命中!ブルーは派手に吹き飛ばされ壁に激突して床に崩れ落ちた。

ブルー「…何故だ?…どうしてお前が…?」

赤ウサJr.「狼族のお前にはわからなかっただろうがウサ吉が放ったあの青白い火の玉はな、白兎族の子供がよくいたずらに使うような幻術なんだよ。ただの幻さ。お前にも当たってたんだが目を閉じていたから気づかなかったんだろう。」

ブルー「じ…じゃあ…」

赤ウサJr.「あの青白い火の玉を見た瞬間、姫とウサ吉の真意を見抜いてワザと吹き飛ばされた演技をしていただけだ。お前を騙し油断を誘うためにな。」

ブルー「こ…この私が…騙し合いで…敗れる…とは…」

そこまで言うとブルーは眠るように目を閉じた。
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