白兎物語
赤ウサJr.「手強い奴だったぜ。しかしよくあんな方法思い付いたな。さすがは白兎の姫だ。」

そう言ってウサ美とウサ吉の方へ振り向くJr.。しかし何やら2匹がもめていた。

ウサ吉「すみませんでした。」

ウサ美「しっ!Jr.に聞こえちまうぞ。いいか、間違って呪文を唱えた事は黙っとくんだぞ。」

ウサ吉「攻撃するつもりが幻術になってしまいました…。2匹とも吹き飛ばなかったんでおかしいなとは思ったんですが…」

ウサ美「いいんだよ、結果オーライだ。黙っときゃわかりゃしないさ。」

すると2匹はJr.がこちらを見ている事に気づき、

ウサ美「さ…さすがはJr.だな。瞬時に作戦の意味を理解して吹き飛んでみせるなんてなかなか出来るもんじゃないよ。」

ウサ吉「あ…ああ、その後の攻撃も決まってたぞ。いやあ、かっこよかったなあ。よけてみな!なんて1度言ってみたいなあ。」

と、バレバレのお世辞を言ってごまかす。

赤ウサJr.「お前ら〜!!マジでオレまで吹き飛ばすつもりだったのかよ!?許さん!」

そう言ってウサ美とウサ吉の方に歩み寄るJr.。

ウサ美「ま…まあ落ち着けJr.。話せばわかるよ…話せば…」

ウサ吉「け…結局敵を倒せたんだからよかったじゃないか…」

赤ウサJr.のあまりの剣幕に後ずさる2匹。すると突然、

ガチャ!

という音がして出口の扉がゆっくりと開いていく。

3匹『!!!』

3匹は扉の奥のただならぬ気配に気づいた。

ウサ美「いるな。」

ウサ吉「ええ、間違いありません。あの扉の向こうにおそらくセシルが…」

赤ウサJr.「なんて妖気だ!邪悪な気がここまで伝わってくるぜ。」

扉の向こうから漂ってくる強烈な気配に3匹は改めて気を引き締めていた。

決戦の時はもう、すぐそこまで来ている。
< 93 / 121 >

この作品をシェア

pagetop