白兎物語
しかしJr.は返事も無く、ゆっくりと前に倒れていきドサッと床に崩れ落ちた。

ウサ美「え?」

ウサ吉「Jr.?」

何が起きたのか分からず呆然とする2匹。

セシル「アハハ!ちょっと魂を抜いてみたんだけど動かなくなっちゃったねぇ。」

そう言って楽しそうに2匹を見つめるセシル。

ウサ美「そんな…」

力無くペタリとその場に座り込むウサ美。

ウサ吉「大丈夫ですか姫?…私が行きます。姫はそこにいて下さい。奴は私が必ず倒す!」

ウサ美「死ぬなよウサ吉…お前が死んだら私は…」

ウサ美の言葉をさえぎるようにウサ吉は言った。

ウサ吉「死にません。私は一生あなたをお守りすると誓ったのです。たとえこの命に替えても!」

そう言ってウサ吉はセシルの方に駆け出した。

ウサ吉の背中を見ながらウサ美はつぶやいた。

ウサ美「バカ…お前がいなくなった世界に生き残っても意味無いんだよ…私はお前の事が………死ぬなよウサ吉。」

ウサ吉はセシルの前まで行くと魔法で光の矢を数十本作り出し一気に放った。

セシルはまた軽く手を振った。光の矢はセシルに当たる直前にまたしても大きく曲がりすべて壁に突き刺さった。

ウサ吉「甘い!」

わざと遅らせて放った一本の矢が続けてセシルを襲う。
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