白兎物語
セシル「甘いのはお前だよ。」

セシルが軽く睨むと矢は一瞬で向きを変え飛んでいき、ウサ吉に突き刺さった。

セシル「お前では私を倒す事など出来ぬ。…何?」

見ると矢の突き刺さったウサ吉の姿が霧のように消えていく。

セシル「これは?…幻術!」

ウサ吉「もらった!」

いつの間にかセシルの背後に回り込んだウサ吉が光の矢をセシルに放とうとした。

セシル「バカめ!お前も本物では無いな?本物はそこだ!」

セシルが上を見上げると、空中に飛び上がっていたウサ吉が大きな光の玉を放とうとしていた。

ウサ吉「見破られたか!このまま放ってもよけられるのは目に見えてるな………え?」

見るとセシルの足にウサ太郎がすがりついていた。

ウサ太郎「…早く撃て……長くはもたないぞ…」

ウサ吉「しかし…それではお前も…」

躊躇するウサ吉。

セシル「死にぞこないが…離せ!離せ!」

片方の足でガシガシとウサ太郎を蹴るセシル。

ウサ太郎「こいつから…世界を救うんだ…ウサ吉!…さあ撃て!」

ウサ吉「すまんウサ太郎!うおおぉぉぉ!」

ウサ吉の放った光がセシルとウサ太郎を包み込み、次の瞬間大爆発が起こった。

ウサ吉は着地して立ち込める煙の中で目をこらした。

壇上にはウサ太郎がピクリともせずに倒れていた。
セシルの姿は見えなかったが、おそらく直撃を受け跡形も無く吹き飛んだのであろう。

ウサ吉はウサ太郎に駆け寄りしゃがみ込んだ。
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